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夏目友人帳 夏目と先生 過去に書いていた本当に短文の寄せ集め
あまりにも唐突な問いだったからか、夏目の問いに対する用心棒の反応はいつになく淡泊だった。 くだらない、くだらないか、そうか。 夏目とて大して深い意味を持った問いではなかったけれど、そう返されては頭を掻いてうなだれるしかない。 ただ、いつだったか悪夢にうなされる夏目を、ニャンコ先生は察して眠りから引きずり起こしたことがあったから。
「お前たち人間の感傷と一緒にされては困るがな。高等のあやかしは見ることもあるだろう」
やがて気まずくなって背を向けた夏目に、翁のような抑えた声が返される。 そうか、とただそれだけを返した。 じゃあレイコさんの夢も、なんて、そこまで聞かなくて正解だったと、それは疑いようがない。
(夏目友人帖・突発夏目と先生) 先生→レイコを妄想するのが好き。 先生→夏目の一方的な愛情をかいま見るたびにもだえますが、先生はおそらくきっとどちらにも報われない そこがいとしい。 2008.9.14
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「見るからに食いでがなさそうで、まずそうだなお前は。そう言うところもまったくレイコに似ている」 「なに失礼なこといってるんだよ、先生」
仮初めの招き猫の姿を解いた用心棒が、夏目の首後ろに鼻先を押しつけてにおいをかいだかと思えばそんなことを云う。 思えばずいぶん馴れあって気安くやりとりを重ねてきたけれど、どうせ食う気もないくせに、と警戒を解いてしまえばこの関係は終わるのではないか。 そう思ったので、肩越しに振り返りふさふさの鼻先をひとしきり撫でたあと、固めた拳を振り下ろした。
「おっ、おま、この神聖で美しい姿の私を殴ったな!?」 「よく言うよほんと・・・」
(夏目友人帖・夏目と先生) 2008,9,21
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「先生、先生」 深夜遅く、床についた夏目が布団の端で丸まる用心棒をひっそりと呼ぶ。 「・・・む、なんだ、」 快適な眠りから引きずり下ろされて不機嫌そうに瞬く。短い前足で目元をこすりながらも、薄闇に淡い色彩の夏目の容貌を見いだした。 「こっちに来いよ、先生」 「・・・お前、この私で暖を取ろうとは生意気な」 ちょいちょいと手招きされ、むっと顔をしかめ不満を零しながらも歩み寄ると、伸ばされた手のひらがひょいっと猫の身体を抱き寄せた。 布団の上掛けに潜り込む。人の体温と、夏目のにおいでこもっている。 「今日少し肌寒いよな」 「ふん、調子が良い」 こんな時だけ自身に何の抵抗もなく頼ってくるところは本当にその一言に尽きて、呆れる。 再び夏目に寄り添ったまま身を伏せて目を閉じる。 ぎゅっと、半身を下にこちらに身を寄せるのがわかって半目を開いた。 ひとにしては端正で見栄えのする顔立ちが、ぼんやりと月明かりに照らされたまま、微笑んだ。 「あったかいなあ」 ただの眠りに落ちる間際のつぶやきだろう。ただ、こぼれ落ちただけだ。 そのまま夏目は目を細めて、たまには良いなあと繰り返す。
あったかいなあ、 ひとも、あやかしも。 わけあうぬくもりは変わりないのだ。
夏目はもうそのどちらも知っている。 ニャンコ先生はじっと夏目が寝入るまで薄目を開けて狸寝入りをしていたが、珍しく健やかな寝息が聞こえ始めると(たいてい夏目は息を潜めるような、もしくはうなされる眠りしか見せない)そっと身体を起こして。 「まあな、悪くはない」 親が子供を安心させてやるよう、悪い夢を呼ばないまじないのように、眠る顔をぺろりとなめた。 こいつといると、退屈だけはするまいよ。
そうしてもう一度、ぬくもりにすり寄って夢に帰る。
2008.9,23
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