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ルインさまは、いつも気さくで明るい方。 すこしおどけたことを言って皆様を笑顔にしたり、多才な芸を披露されて楽しませてくださったり。 世界中を旅なさっているとは聞いておりましたが、あまり戦いは得意ではないご様子。 「攻撃はもっぱらキオリリ。ガトゥーザは鉄壁の防御。オマールは万能の呪文。ボクは楽できていいけどね」 あっさりとした感じに仰って、また皆様を笑わせていたのも最近のこと。 誰に対しても気遣いをお見せになる優しい方。怒ったところや悲しまれているところなんて、見かけたことがございません。 リッカさんとお話しされているときは、とても安らいだ表情をなさる。 まるで、ご主人に甘える仔犬のようで。全幅の信頼を寄せていらっしゃるのがわかるのです。 あら、こんな事を言っては失礼に当たりますわね。 ルインさまは、いつも笑顔。
「ロクサーヌ」 ―――――わたくしは。 宿屋の隅、人気のすくない通りで、現れたルインに名前を呼ばれた。 (わたくしは、思い違いをしていたのだわ) 「ロクサーヌ、どうしたの」 いかにも人相の悪い男達が、顧客リストを手に立ち去ったのを、ルインも見ていただろう。 ロクサーヌは、呼ばれた名前に飛び上がり、自分でもあきれるほどの動揺っぷりで事情を話した。 (お願いします、ル…) つむごうとした言葉が、顔を上げたとたん舌の上で凍り付いた。 ロクサーヌはとっさに、いけないと思いながらも目を伏せた。 「ロクサーヌ」 再びルインに名前を呼ばれ、今度こそロクサーヌの肩が震えた。 声は静かだった。凪いでいる。 しかしもう一度、呼ばれたいとは思わない。 「ロクサーヌ」 震えはやがて全身にいたり、ロクサーヌはいつしか手のひらで顔をおおって震えていた。 「ボクを見てロクサーヌ」 いや、いや。いやです。心が拒絶を叫ぶが、抗えない圧力に、ロクサーヌは目だけを上げた。 (……ああ) 凪いだ顔。ルインの表情。 黄金は鋭かった。ロクサーヌの思惑など通り越して、突き刺し切り裂く無言の。 それ以上、目を見ることは出来ず、ロクサーヌの視線はルインの鼻や頬をさまよう。 白くあどけない、まだ少女の輪郭。 「あなたにも、いろいろと事情があるんだと思う」 ルインは静かに言った。声にはとげとげしいものは込められていない。 けれどわかる。温度を廃した、ただの無機物。無機物という感情表現。 「ただ、リッカを偽りで傷つけるのは許さない」 かわいらしい言葉だ。大事な友人を護ろうとするような。 しかしそのありふれた言葉に込められた、あまりに重い、重く強い意志。 「……ボクは、カウンターにルイーダとロクサーヌとリッカと、カマエルと、レナがみんないるのが好きなの」 はっと、呪縛が解けたようにロクサーヌが顔を上げると、ルインはもう背を向けて先を歩いている。 いつも通り。いつものルインがそこにいる。 「好きなんだよ、ロクサーヌ」 ロクサーヌは無言で、その背について歩いていく。 「顧客リストは見つけてくるよ。ロクサーヌは何もありませんでしたって顔でカウンターに戻ってね。着いてきてもいいけど」 (どこまでご存じなのでしょうか) あるいはすべてを? このルインの本質を知ってしまえば、そう思うのも無理はなかった。 ロクサーヌはいまだ震える己の腕をさすりながら、先ほどまでの考えににが笑いを浮かべる。 仔犬だなんて。侮るにもほどがありましたわ。 この方は番犬なのだわ。脅かすものには容赦なく金の怜悧な牙を剥く。
クエストの真相を知るまでは、心底ぶち切れた(脳内の)ルインがお蔵入りになって残念と言えば残念ですw ルインは詳細まで見抜いてないけど、ロクサーヌの発言が二重の嘘って事は気付いてるよ!という。
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